骨カルシウム代謝調節最前線
αKlothoの奇妙な構造
伊村 明浩
1
1先端医療振興財団 医薬品研究開発グループ
キーワード:
Beta-Glucosidase
,
Vitamin D
,
分子構造
,
klothoマウス
,
Klotho Protein
,
補助受容体
,
線維芽細胞増殖因子-23
Keyword:
beta-Glucosidase
,
Vitamin D
,
Molecular Structure
,
Klotho Protein
,
Fibroblast Growth Factor 23
pp.205-212
発行日 2014年7月1日
Published Date 2014/7/1
DOI https://doi.org/10.19020/J02201.2014295629
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Klotho(αKlotho,αKl)変異マウスが,「老化抑制遺伝子」の発見という仮説に基づいて報告されて以来15年以上が経過した.現在確立したことは,αKl蛋白質はリン酸抑制ホルモンである線維芽細胞成長因子(fibroblast growth factor;FGF)23の共受容体であり,したがってリン酸とビタミンDを抑制する因子である,という知見である.しかし,なぜαKlが,FGF23,FGF受容体および他の結合分子に特異的かつ同時に結合しうるのか,という問題については理解できたとはいえない.本稿では,なぜαKlの一次構造がβ-glycosidaseに相同性をもつのか,という点に着目した研究成果を示す.いい換えればαKlは,既知の膜受容体では例のない構造を取っている.Klothoはα-,β-の2種類からなる孤立した遺伝子ファミリーで,相互のアミノ酸配列相同性は45%程度である.Klothoファミリーが,FGFファミリーのために存在しているのか,あるいは別の存在理由があるのか,という議論は重要である.
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