ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎を診る、治す
実地医家に求められるH.pylori胃炎診療 H.pylori除菌前に把握しておくべき除菌後胃癌発生リスク
吉田 岳市
1
,
前北 隆雄
,
榎本 祥太郎
,
渡邊 実香
,
加藤 順
,
一瀬 雅夫
1和歌山県立医科大学 第二内科
キーワード:
生物学的マーカー
,
ヘリコバクター感染症
,
Helicobacter pylori
,
Pepsinogens
,
胃炎
,
胃腫瘍
,
抗細菌剤
,
細菌抗体
,
多剤併用療法
,
リスク
,
DNAメチル化
,
除菌療法
,
発癌
Keyword:
Anti-Bacterial Agents
,
Antibodies, Bacterial
,
Drug Therapy, Combination
,
Gastritis
,
Pepsinogens
,
Risk
,
Stomach Neoplasms
,
Biomarkers
,
Helicobacter pylori
,
Helicobacter Infections
,
DNA Methylation
,
Carcinogenesis
pp.281-286
発行日 2014年2月20日
Published Date 2014/2/20
DOI https://doi.org/10.19020/J01937.2014113364
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Helicobacter pylori(H.pylori)は胃癌最大のリスクファクターで,H.pylori感染により惹起された慢性炎症が,胃粘膜のさまざまな分子生物学的および病理形態学的変化の原因となり,最終的に胃発癌と密接に関連していることが明らかとなっている.筆者らは,これまで長期観察研究をもとにH.pylori感染胃炎の自然史における胃癌発生の動態を具体的に明らかにしてきた.H.pylori感染に由来する慢性炎症をほとんど消失させるH.pylori除菌療法は,H.pylori感染胃炎の自然史を変え,胃癌発生を抑制する効果が期待されている一方で,報告されているH.pylori除菌療法後の胃癌リスクは決して低いものではない.この点を正しく理解し,対象者に対する十分な告知と長期追跡の体制を整えたうえで,H.pylori除菌療法を実施する必要がある.
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