ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎を診る、治す
H.pylori胃炎除菌による胃内環境への影響 除菌による胃癌発生への効果 私の視点 H.pylori除菌と胃癌予防
前畠 裕司
1
,
中村 昌太郎
,
森山 智彦
,
江崎 幹宏
,
松本 主之
1九州大学 大学院病態機能内科学
キーワード:
ヘリコバクター感染症
,
Helicobacter pylori
,
胃炎
,
胃腫瘍
,
抗細菌剤
,
多剤併用療法
,
発生率
,
腫瘍-第二原発
,
治療成績
,
除菌療法
Keyword:
Anti-Bacterial Agents
,
Drug Therapy, Combination
,
Gastritis
,
Stomach Neoplasms
,
Neoplasms, Second Primary
,
Helicobacter pylori
,
Helicobacter Infections
,
Incidence
,
Treatment Outcome
pp.357-362
発行日 2014年2月20日
Published Date 2014/2/20
DOI https://doi.org/10.19020/J01937.2014113375
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H.pylori除菌による胃癌発生の抑制効果については未だ議論されている状態であり,メタアナリシスでも除菌治療による有意な胃癌リスクの抑制は得られていない.一次胃癌については,胃粘膜軽度萎縮例でのみ除菌による胃癌予防効果が示されている.異時性二次胃癌については,自験例の研究では,除菌後5年以上経過した後に異時性胃癌が高率に発生し,H.pylori除菌による有意な予防効果を認めなかった.また,背景胃粘膜高度萎縮と5年以上の追跡期間が異時性胃癌発生の危険因子であった.H.pylori感染者は全員除菌すべきであるが,除菌による胃癌予防効果は,粘膜萎縮が進行した例よりも,軽度萎縮の若年者で効果が高いと考えられる.
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