老年医学からみた透析医療
高齢者総合機能評価(Comprehensive Geriatric Assessment;CGA) 各種評価法と現場での活用の実際
辻本 吉広
1
,
揖場 和子
1蒼龍会井上病院 内科
キーワード:
外来患者
,
血液透析
,
腎不全-慢性
,
日常生活活動
,
入院患者
,
高齢者評価
,
機能的自立度評価法
Keyword:
Activities of Daily Living
,
Kidney Failure, Chronic
,
Renal Dialysis
,
Inpatients
,
Outpatients
,
Geriatric Assessment
pp.1225-1232
発行日 2015年9月10日
Published Date 2015/9/10
DOI https://doi.org/10.19020/J01864.2015400650
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近年わが国では高齢の透析患者が増加しているが,高齢透析患者では単に透析治療を行う,あるいは単一の疾患を治療するだけでは個々の患者の総合的な改善にはならない場合が多い.なぜなら高齢患者は多くの合併症を有しており個々の疾患が互いに影響し合うこと,認知症や身体機能の低下から在宅生活の維持,透析への通院手段などに問題が生じることが多いこと,介護が必要であっても適当な介護者がいない場合があることなど,高齢透析患者がかかえる問題は多岐にわたる.こういった観点から,疾病だけでなく,身体面,精神心理面,社会面から総合的に生活機能障害を評価する高齢者総合機能評価(comprehensive geriatric assessment;CGA)を用いることが有用である.CGA評価を行う際は,各施設・病院に合った評価方法を用い,その結果を医療スタッフ全員が共有して問題点を認識することが必要である.そして単に評価するだけにとどまらず,CGAで得られた問題点に対して方策を立てることで患者の予後やQOL改善につなげるように取り組むことが重要である.
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