特集 Onco-Cardiologyの新展開
治す 癌患者における静脈血栓塞栓症の治療と予防
荻原 義人
1
1三重大学医学部附属病院 循環器内科
キーワード:
外来患者
,
危険因子
,
抗凝固剤
,
コホート研究
,
腫瘍
,
入院患者
,
メタアナリシス
,
偶発的発見
,
静脈血栓塞栓症
,
長期投与
Keyword:
Anticoagulants
,
Inpatients
,
Neoplasms
,
Outpatients
,
Risk Factors
,
Cohort Studies
,
Meta-Analysis as Topic
,
Incidental Findings
,
Venous Thromboembolism
pp.165-173
発行日 2018年2月9日
Published Date 2018/2/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2018122110
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癌患者には血栓症が発生しやすく、癌に合併した血栓症は癌関連血栓症(cancer associated thromobosis:CAT)とよばれる。そのなかで癌関連静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism:VTE)は、非担癌VTEと比較し、再発および出血リスクが高く、さらに癌患者の主要な死因となっているため、癌診療においてVTEのマネジメントは重要課題の1つである。その治療の基本となる抗凝固療法において、日本は海外と異なり、低分子ヘパリンが使用できないという背景があり、ワルファリンによる治療を行ってきた。しかし、近年、直接経口抗凝固薬がVTE領域に使用できるようになり、治療の選択肢が拡がり、新たな治療戦略が考えられるようになった。また予防においては、癌周術期管理の重要性が周知され、広く実施されるようになり、VTEの発生率が低下した一方で、非周術期の予防について十分に認知されておらず、発生が抑制できていない。さらに予防方針においてエビデンスも不十分な状況であり、多くの課題が残っている。本稿では、癌関連VTEの治療と予防における要点や管理上の注意点を概説し、今後の課題についても考察する。
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