発行日 2013年7月10日
Published Date 2013/7/10
DOI https://doi.org/10.19020/J01864.2013319033
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40歳代女。多発性嚢胞腎(ADPKD)にて紹介され、食事療法、降圧治療、腎性貧血に対して赤血球造血刺激因子製剤(ESA)投与を行っていた。腎機能の悪化に伴いバスキュラーアクセス(VA)造設手術を予定していたが、予定前に右背部側腹部痛の出現、疼痛と発熱の持続、胸部X線で右胸水貯留と無気肺、重篤な貧血を認め、腎嚢胞出血が疑われ緊急入院となった。超音波検査では、肝・腎は多数の嚢胞で腫大し、造影CTでは肝嚢胞の感染による胸水貯留の可能性を疑ったが、明らかな腎嚢胞出血は確認できなかった。輸血と広域抗菌薬(メロペネム)投与を開始したが、右胸水が急激に増加し第5病日に胸部圧迫感と呼吸苦が出現し、意識レベルも低下し、尿毒症性脳症が疑われた。第6病日の右胸腔穿刺では濁った膿瘍胸水が排液され肺膿瘍と診断し、第7病日より血液透析を導入した。FDG-PET/CTを行ったところ、肝右葉の横隔膜の辺縁部、右葉尾側の嚢胞辺縁部に強い集積を認め、右葉肝嚢胞感染から横隔膜を介して波及した肺膿瘍と診断した。メロペネムとシプロキサンの併用と胸腔持続ドレナージにて改善し、2週間後にドレーンを抜去した。その後、発熱、CRP値は改善した。
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