発行日 2017年5月1日
Published Date 2017/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2017209371
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60歳男。咳嗽、呼吸苦を主訴とした。症状悪化にて近医を受診し、左肺膿瘍疑いで紹介搬送となり、初診時には膿性痰の喀出と炎症反応の高度上昇を認めた。胸部X線所見では左中肺野から下肺野にかけ広範囲にX線透過性が低下しており、胸部CTでは左肺下葉に内部不均一な腫瘤状陰影がみられ、左胸腔内の広範囲で多房化した胸水貯留を認めた。肺膿瘍、急性膿胸の診断で胸腔鏡下手術を行ったところ、左肺下葉背側の臓側胸膜がわずかに裂けて膿の排出がみられ、肺切開・肺膿瘍ドレナージにより炎症反応は徐々に消退した。なお、喀痰、胸水、血液培養からStreptococcus intermediusが検出され、喫煙、アルコール多飲と口腔内の劣悪な衛生環境が肺膿瘍発症に大きく影響したと思われた。
©Nankodo Co., Ltd., 2017