特集 大腸Ⅱc─症例アトラス
Ⅰ.大腸Ⅱcへの思い─現在・過去・未来
藤井 隆広
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1藤井隆広クリニック
キーワード:
大腸Ⅱc
,
LST-NG
,
NB
Keyword:
大腸Ⅱc
,
LST-NG
,
NB
pp.131-140
発行日 2021年7月20日
Published Date 2021/7/20
DOI https://doi.org/10.19020/INT.0000000572
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大腸Ⅱcは,工藤進英らによって“幻の癌”から“実在の癌”へと,日本のみならず国際的にもその認識を変えた,その功績は大きい.しかし,それから30年以上過ぎた今でもⅡcの解明は進んでいない.その原因として,Ⅱcに比べ発見しやすいSSA/PやLST-NGは学会などで取り上げられるものの,発見数が少ないⅡcは最近では議題にも挙がらない状況である.Ⅱcの発見数が少ない要因には,Ⅱcを発見することが困難であるとともにⅡcは発育速度が速く,Ⅱcが深部浸潤した後の形態変化はⅡa+ⅡcやⅠs+Ⅱc,そして進行癌へとスピーディーに形を変えていく,そのためⅡcの形態を維持する期間は短く,発見するチャンスが少ないものと考える.Ⅱcの発見率向上には,初回の大腸内視鏡検査数を増やすこと,そして,その検査も前処置良好でⅡcの存在を意識した質の高い内視鏡観察が必要と考える.しかしながら,近い将来には新たな内視鏡検査機器の開発によって大腸Ⅱcを誰もが発見できる時代が来るものと期待している.
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