特集 大腸癌のスクリーニングとサーベイランスの標準化に向けて─ 新しい知見から
Ⅱ.サーベイランス(2) 大腸T1(SM)癌に対する内視鏡切除後サーベイランス─ ハイリスク群の抽出は可能か?
一政 克朗
1
,
工藤 進英
1
,
森 悠一
1,2
,
三澤 将史
1
,
宮地 英行
1
,
AMED T1 Study Group
1昭和大学横浜市北部病院消化器センター
2オスロ大学Clinical Effectiveness Research Group
キーワード:
大腸T1癌
,
人工知能
,
リスク層別化
,
リンパ節転移
Keyword:
大腸T1癌
,
人工知能
,
リスク層別化
,
リンパ節転移
pp.86-92
発行日 2021年5月20日
Published Date 2021/5/20
DOI https://doi.org/10.19020/INT.0000000554
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内視鏡的切除された大腸T1癌は,組織学的検索に基づいたリンパ節転移のリスクに応じて追加外科手術の必要性が判断される.「大腸癌治療ガイドライン」(2019年版)はリンパ節転移低リスク群の抽出,すなわち経過観察群の安全性の担保に成功した一方で,追加腸切除を含む外科手術例の実際のリンパ節転移陽性率は10%にすぎず,経過観察群の適応拡大の余地はまだ存在すると考えられる.正確な転移リスク層別化により結果的over-surgeryを減じることで,低侵襲治療の提供,医療費削減効果が期待できる.この課題を解決すべくAIを用いて国内8施設4,073例のデータを解析し,リンパ節転移予測モデルを構築した.AIでは現行ガイドラインよりもリンパ節転移予測精度が高い〔area under the curve(AUC);AI=0.83,日本ガイドライン=0.57〕結果が得られ,AIが内視鏡治療後の追加腸切除施行の判断に寄与しうる可能性が示された.
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