TOPICS 文献紹介〈腫瘍関連*〉
内視鏡的切除後大腸T1 癌のリンパ節転移の有無を術前予測し,追加外科手術の必要性を判断する人工知能システムの開発〔Review from ─ Gastroenterology 2021;160:1075-1084.e2〕
工藤 進英
1
,
一政 克朗
1
,
斎藤 彰一
2
,
堀田 欣一
3
,
斎藤 豊
4
,
松田 尚久
4,5
,
山田 一隆
6
,
三谷 年史
7
,
大塚 和朗
8
,
森 健策
9
1昭和大学横浜市北部病院消化器センター
2がん研究会有明病院下部消化管内科
3静岡県立静岡がんセンター内視鏡科
4国立がん研究センター中央病院内視鏡科
5国立がん研究センター中央病院検診センター
6大腸肛門病センター高野病院消化器外科
7三軒茶屋駅前おなかクリニック
8東京医科歯科大学光学医療診療部
9名古屋大学大学院情報科学研究科
キーワード:
大腸T1癌
,
人工知能
,
リスク層別化
,
リンパ節転移
,
治療戦略
Keyword:
大腸T1癌
,
人工知能
,
リスク層別化
,
リンパ節転移
,
治療戦略
pp.328-330
発行日 2021年9月20日
Published Date 2021/9/20
DOI https://doi.org/10.19020/INT.0000000625
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
内視鏡的切除された大腸T1癌は,病理組織学的検索に基づいたリンパ節転移のリスクに応じて追加腸切除の必要性が判断される.追加腸切除適応基準を明記した本邦の「大腸癌治療ガイドライン」(2019年版)の功績は,リンパ節転移低リスク群の抽出,すなわち経過観察群の絞り込みに成功したことにある.一方で,追加腸切除を含む外科手術例の実際のリンパ節転移陽性率は10%にすぎず,残り90%のリンパ節転移陰性患者は1.5〜2%程度の手術関連死のリスクや術後腸閉塞,人工肛門造設等によるQOLの低下と引き換えに結果的over surgery(過剰手術)を受けている可能性がある.正確な術前転移リスク層別化により経過観察群の適応拡大の余地はまだ存在すると考えられ,結果的over surgeryを減じることで低侵襲治療の提供,医療費削減効果が期待できる.
Copyright © 2021, Nihon Medical Center, Inc. All rights reserved.