特集 大腸癌のスクリーニングとサーベイランスの標準化に向けて─ 新しい知見から
〔コラム〕大腸微小ポリープの取り扱い
堀田 欣一
1
1静岡県立静岡がんセンター内視鏡科
pp.85-85
発行日 2021年5月20日
Published Date 2021/5/20
DOI https://doi.org/10.19020/INT.0000000558
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本稿では5mm以下の腺腫性ポリープの取り扱いについて述べる.現在,欧米においては腺腫性ポリープの完全切除および全回収がガイドラインにおいて推奨されている.ポリープ切除後のサーベイランスについて,すべての腺腫性ポリープを切除することを前提にインターバルが提案されている.一方,本邦においては従来から5mm以下の腺腫性ポリープを経過観察することが一般的であった.「大腸ポリープ診療ガイドライン2014」では「5mm以下の微小腺腫のうち隆起性病変は経過観察も容認される(弱く推奨)」と記載された.2020年の改訂版では「径5mm以下の隆起性腺腫は内視鏡切除してもよいが,経過観察することも容認される(弱く推奨)」と切除を肯定する記載に変更された.2018年に日本消化器内視鏡学会の指導施設を対象に行った調査では5mm以下の腺腫性ポリープをすべて切除すると回答した施設は約30%であった.偶発症の少ないcold snare polypectomyが急速に普及しており,real worldでの現状は今後変化していくものと予想される.微小腺腫の取り扱いはその後のサーベイランスも含めて,包括的に検討すべきテーマである.
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