特集 腸管感染症
Ⅰ.総論
(4)腸管感染症の診断における生検組織の役割
藤原 美奈子
1,2
,
保利 喜史
2
,
古賀 裕
2
,
小田 義直
2
1九州大学医学部保健学科
2九州大学大学院医学研究院形態機能病理
キーワード:
生検組織診断
,
カンピロバクター腸炎
,
エルシニア腸炎
,
非定型抗酸菌症
,
腸管スピロヘータ症
,
アメーバ性大腸炎
Keyword:
生検組織診断
,
カンピロバクター腸炎
,
エルシニア腸炎
,
非定型抗酸菌症
,
腸管スピロヘータ症
,
アメーバ性大腸炎
pp.128-134
発行日 2019年3月20日
Published Date 2019/3/20
DOI https://doi.org/10.19020/INT.0000000315
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
腸管感染症の生検組織で認識できる,いくつかの特異的な組織所見について解説した.カンピロバクター腸炎は粘膜の好中球浸潤や出血が目立ち,潰瘍性大腸炎との鑑別が重要で,エルシニア腸炎はリンパ球集簇内に大型の類上皮細胞肉芽腫がみられ,その中心に壊死,好中球浸潤,膿瘍形成を示すことでクローン病と鑑別することができる.非定型抗酸菌症ではマクロファージの集簇が特徴的で,抗酸菌染色で陽性を示す菌がマクロファージの胞体に充満する.腸管スピロヘータ症は,大腸粘膜表層に好塩基性帯状の偽刷子縁として観察される.アメーバ性大腸炎については,PAS 染色陽性で赤血球貪食像を示す栄養型アメーバを潰瘍部の壊死組織の中に証明することで診断できる.このように腸管感染症における生検組織診断は,時に病原体確定に有用な役割を果たすことができる.
Copyright © 2019, Nihon Medical Center, Inc. All rights reserved.