特集 大腸内分泌細胞腫瘍─WHOの考え方と日本の考え方
Ⅳ.直腸カルチノイド(1)病理診断
河内 洋
1
1がん研究会有明病院病理部
キーワード:
直腸
,
カルチノイド腫瘍
,
神経内分泌腫瘍
,
病理診断
Keyword:
直腸
,
カルチノイド腫瘍
,
神経内分泌腫瘍
,
病理診断
pp.47-54
発行日 2019年1月20日
Published Date 2019/1/20
DOI https://doi.org/10.19020/INT.0000000296
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直腸カルチノイド腫瘍は,本邦においては大腸カルチノイド腫瘍の9 割以上を占め,もっとも頻度が高い.肉眼的には粘膜下腫瘍様形態を示すが,増大すると粘膜面への露出もみられる.組織学的には索状,リボン状,管状,小胞巣状,充実性胞巣などの組織構築を示す.腫瘍細胞は類円形~楕円形で粗大顆粒状クロマチンを有する比較的均一な核と,淡好酸性で繊細な顆粒状細胞質をもつ.免疫染色ではシナプトフィジンやCD56 が通常陽性だが,クロモグラニンA の陽性率が低い等,他臓器発生との違いがある.実際の病理診断では壁深達度や脈管侵襲,断端等,通常記載する項目に加え,核分裂数やMIB-1 index による増殖指数の評価を行い,それに基づくWHO グレード分類も記載する.生検診断においては,粘膜下腫瘍様病変であるため,粘膜表層からの検体採取では診断に至らない可能性があり,深部まで含めた検体採取や複数個の生検が望ましいが,病変が小さい場合は治療時に影響が及ぶおそれがあることにも留意する.本邦の分類は組織所見に基づくが,WHO 分類は細胞増殖指数による分類であり考えが異なっている.
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