連載 見落とし症例から学ぶ胃癌内視鏡検査(最終回)
症例10 存在診断の誤りによる見逃し症例
小田島 慎也
1
1帝京大学医学部内科学講座
pp.1491-1493
発行日 2025年10月20日
Published Date 2025/10/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000003683
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▶70代,男性/胃癌術後(幽門側胃切除)の経過観察目的で検査
▶Helicobacter pylori(HP)除菌歴:2014年除菌後
▶現病歴:2016年に早期胃癌に対して幽門側胃切除を施行され,その後定期的に上部消化管内視鏡(EGD)を受けている.
▶見落とし時の状況:2018年7月のEGDでは胃内に唾液が落ち込んで胃粘膜に付着していたため,のちに診断される早期胃癌があると考えられる部位は唾液により観察できない状態であった.その後唾液は洗浄されているが,該当部位の画像は撮影されておらず,その部位の詳細な観察はされていないようであった.
▶発見時の状況:約1年後の2019年6月のEGDでは,大量の食物残渣が胃内に存在し,観察条件は悪い状態ではあったが,胃体上部小彎後壁側に陥凹領域を認めた.早期胃癌の可能性を考え生検を施行し,adenocarcinoma (tub1,tub2)の診断が得られた.

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