連載 症候学メモ・52
カーテン徴候の誤り
平山 恵造
1
1千葉大学神経内科
pp.463
発行日 1989年5月1日
Published Date 1989/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406206310
- 有料閲覧
- 文献概要
◆この頃は,学会場で映画によって神経症状を提示することが多くなった。大変に好ましいことである。そういった中に,ときとして,おやおやこれはおかしいぞと思わせられるものがある。それ自体がその発表の主題でないと,その疑問について質問することをためらう(これはよくないことかな,とは思いつつ)。そのような中の一つにカーテン徴候がある。カーテン徴候の誤りは一度ならず見ているので,間違って理解されていることが意外に多いのかもしれない。
◆映画を見ていると,患者は口を大きく開いて,恐らくは「アー」とか何とか発声をしているのであろう。軟口蓋弓が口蓋垂と共に患側から健側へと引かれるのが写し出されている。これは患側の軟口蓋筋の麻痺を示している。しかし,咽頭後壁は全く動いていない。つまりカーテン徴候は見られない。カーテン徴候が誤られるのは,このような軟口蓋の移動をそれと間違えているものである。それではどれが本当のカーテン徴候であろうか。
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.