特集 これからの胃癌診療
9.腹膜播種のある胃癌に対する治療―パクリタキセル腹腔内投与(IP-PTX)併用SOX療法の経験を交えて
齋藤 心
1
,
山口 博紀
1,2
,
高橋 和也
1
,
倉科 憲太郎
1
,
佐田 尚宏
1
,
北山 丈二
1
1自治医科大学消化器一般移植外科
2自治医科大学臨床腫瘍科
キーワード:
腹腔内化学療法
,
パクリタキセル
,
胃癌腹膜播種
,
コンバージョン手術
Keyword:
腹腔内化学療法
,
パクリタキセル
,
胃癌腹膜播種
,
コンバージョン手術
pp.913-920
発行日 2024年7月20日
Published Date 2024/7/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000003111
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胃癌治癒切除後の再発部位は腹膜転移が最多であり,その進行により腸閉塞や水腎症,閉塞性黄疸,大量腹水貯留等が生じ,患者のQOLは著しく悪化する.このため,胃癌治療では腹膜播種転移は重要な治療対象と考えられる.腹膜播種を伴う胃癌に対しては,他臓器に転移を有する場合と同様の全身化学療法が実施されてきたが,薬剤の腹膜への移行性が悪いため,一般にその治療効果は乏しいとされる.全身化学療法以外にも,拡大切除,温熱療法,免疫療法などが試されてきたが,未だに腹膜播種病変に対する確立された治療法は存在しない.一方で,近年の抗癌剤治療の進歩に伴いstage Ⅳ胃癌であっても奏効症例に対してConversion surgeryが施行され,良好な治療成績が報告されている.本稿では,当施設における腹腔内化学療法の経験を踏まえつつ,胃癌腹膜播種に対する治療戦略を概説する.
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