特集 癌外科医必読 腹膜播種の治療戦略と手術
Ⅱ.各論 1)胃癌腹膜播種の治療戦略と手術の位置付け
藤原 義之
1
,
宮谷 幸造
1
,
松永 知之
1
,
宍戸 裕二
1
,
清水 翔太
1
1鳥取大学医学部消化器・小児外科
キーワード:
胃癌腹膜播種
,
外科手術
,
ガイドライン
Keyword:
胃癌腹膜播種
,
外科手術
,
ガイドライン
pp.1539-1547
発行日 2022年9月15日
Published Date 2022/9/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000002964
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近年,胃癌の年齢調整罹患率は,ピロリ菌の感染率の低下などにより減少傾向である。しかし,依然として,わが国の悪性腫瘍による死亡原因に占める胃癌の割合は,男性において第2位,女性において第5位を占め,胃癌に対する予防・診断・治療などの対策は非常に重要である(国立がんセンター がん情報サービス 2020年統計)。進行胃癌の死亡原因のトップは腹膜播種であり,胃癌治療において腹膜播種をいかに制御するかが治療成績を左右するといっても過言ではない。胃癌の腹膜播種性転移は,小結節散在型やびまん浸潤型を呈することが多く,通常の画像診断にて,その初期病変をとらえることが困難である。そのうえ,腹膜播種が進行すると,腹水貯留・腸閉塞・水腎症・胆管狭窄などの症状をきたし,患者のQOL(quality of life)を著しく低下させ,化学療法の継続を障害する。これまで,転移を有する進行胃癌に対し,多くの大規模臨床試験が行われ,多くのエビデンスが構築され,胃癌治療ガイドラインとしてまとめられてきた。しかし,腹膜播種に特化したエビデンスは少なく,画一的な治療が標準治療として推奨されているのが現状である。
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