Japanese
English
特集 進行消化器癌に対するconversion surgeryのすべて
II. 各論
2. 胃
2)胃癌腹膜播種に対する外科治療戦略
Surgical strategy for gastric cancer with peritoneal dissemination
倉科 憲太郎
1
,
山口 博紀
1
,
齋藤 心
1
,
大澤 英之
1
,
金丸 理人
1
,
高橋 和也
1
,
金子 勇貴
1
,
細谷 好則
1
,
佐田 尚宏
1
,
北山 丈二
1
K. Kurashina
1
,
H. Yamaguchi
1
,
S. Saito
1
,
H. Ohzawa
1
,
R. Kanamaru
1
,
K. Takahashi
1
,
Y. Kaneko
1
,
Y. Hosoya
1
,
N. Sata
1
,
J. Kitayama
1
1自治医科大学
キーワード:
腹腔内化学療法
,
conversion surgery
,
PHOENIX GC試験
Keyword:
腹腔内化学療法
,
conversion surgery
,
PHOENIX GC試験
pp.1394-1400
発行日 2023年12月1日
Published Date 2023/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_geka85_1394
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
胃癌治療において腹膜播種は重要な予後規定因子であるが,標準治療である全身化学療法では腹膜への薬剤移行性がわるい.タキサン製剤の腹腔内散布は,脂溶性という薬剤特性から高い腹腔内薬物濃度が維持され,強い抗腫瘍効果を発揮することが期待される.S-1+paclitaxel経静脈投与に加えてpaclitaxel腹腔内投与を併用するPHOENIX-GC試験では,主解析ではS-1+cisplatin併用療法と比較して優越性は示せなかったが,per protocol set analysisでは有意差を認めた.腹膜播種陽性(P1)または腹水細胞診陽性(CY1)と診断された非切除進行胃癌症例に対してpaclitaxel腹腔内投与+SOX療法を導入する当科の臨床研究でも,生存期間中央値(MST)19.0ヵ月,1年全生存率(OS)74.8%,2年OS 47.2%,5年OS 27.8%と良好な成績を示した.さらに播種消失や細胞診陰転化がみられた39例(46%)にconversion surgeryとして胃切除を施行し,手術症例のMSTは39ヵ月,1年・2年・5年OSはそれぞれ100%,71.3%,43.8%と非切除群と比べてOSが有意に延長した.
胃癌腹膜播種に対する腹腔内化学療法,奏効例に対するconversion surgeryは予後の改善が期待できる.今後は患者の生命予後改善に寄与する新規バイオマーカーの発見が望まれる.
© Nankodo Co., Ltd., 2023