第11回 大腸ポリポーシス患者のマネジメント

本邦における大腸癌の罹患数は年々増加しており，全癌罹患数のうち男女ともに第2位，総数では第1位であり，癌死亡数の順位も第2位となっている．大腸癌患者の約30％は遺伝的素因があるといわれており，さらに全大腸癌の5％は原因遺伝子が明らかにされている遺伝性大腸癌である．遺伝性大腸癌には家族性大腸腺腫症（familial amyloid polyneuropathy；FAP）やPeutz-Jeghers症候群のようにポリポーシスを呈するものだけでなく，リンチ症候群のように非ポリポーシス性の疾患がある．本邦では2012年に大腸癌研究会より「遺伝性大腸癌診療ガイドライン」の初版が刊行され，直近では2020年版が発刊されており診療方針に関する指針が示されている．