特集 Common disease となった潰瘍性大腸炎の現状と診療のコツ
2 .潰瘍性大腸炎の病態・自然史をふまえた治療戦略
飯島 英樹
1,2
,
岩谷 修子
1
1社会医療法人警和会大阪警察病院
2大阪大学大学院医学系研究科消化器内科学
キーワード:
潰瘍性大腸炎
,
自然史
,
粘膜治癒
,
生物学的製剤
Keyword:
潰瘍性大腸炎
,
自然史
,
粘膜治癒
,
生物学的製剤
pp.745-750
発行日 2022年6月20日
Published Date 2022/6/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000002234
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潰瘍性大腸炎(UC)はおもに若年者に発症する慢性炎症性腸疾患であり,本邦でのUCの患者数は急速に増加し続けている.UC患者において,長期罹患に伴い結腸直腸癌のリスクが増加することも問題となっている.UCに対する従来の治療の主目標は,5-アミノサリチル酸製剤やステロイドなどを用いて症状の緩和を目指すことであったが,それらの製剤に加えて免疫抑制剤,抗TNF-α抗体製剤をはじめとした生物学的製剤,JAK阻害薬などのさまざまな作用点をもつ薬剤が使用できるようになり,UCの治療ストラテジーを大きく変えている.新規薬剤の登場により,腸管粘膜の炎症を完全に治癒させる“粘膜治癒”の達成が現実的なものとなり,粘膜治癒が長期的な手術率や再発率の低下,QOLの低下と関係することも明らかになってきた.適切な治療法の導入により,UCの自然史を変え,良好な予後を得るための戦略が必要である.
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