消化管がん検診・スクリーニングの手引き
Ⅵ 下部消化管の検診でしばしば遭遇する腫瘍性疾患 ❶ 大腸ポリープ
山村 健史
1
,
中村 正直
1
,
前田 啓子
2
,
澤田 つな騎
2
,
石川 恵里
1
,
角嶋 直美
1
,
古川 和宏
1
,
川嶋 啓揮
2
,
藤城 光弘
1
1名古屋大学大学院消化器内科学
2名古屋大学大学院医学部附属病院光学医療診療部
キーワード:
大腸ポリープ
,
基本的分類
,
内視鏡的摘除後フォローアップ
Keyword:
大腸ポリープ
,
基本的分類
,
内視鏡的摘除後フォローアップ
pp.1022-1028
発行日 2021年7月15日
Published Date 2021/7/15
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001881
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大腸がんは本邦でがん罹患数1位,がん死亡数2位と増加傾向を示しており,世界でもがん疾患のなかで大きな割合を占めている.大腸がんは検診による死亡抑制効果が実証されており,世界の多くの地域で実施されている.本邦では便潜血免疫法(fecal immunohistochemical test;FIT)が開発され,1992年から対策型検診として行われているが,検診受診率および精検受診率の低さが問題として挙げられている.一方,任意型検診では全大腸内視鏡(total colonoscopy;TCS)を用いることができるが,対策型検診として組み込むには安全性と質の担保,医療者側の検査処理能力,費用効果,アドヒアランスなど多くの課題が残されている.しかし大腸内視鏡による腺腫性ポリープ切除は,大腸がんの罹患率・死亡率を減少させることが報告されており,TCSが早期発見・治療に関しては非常に有効な手段であることに異論はないと思われる.大腸がんは検診により死亡抑制効果を期待できるうえに内視鏡的腺腫性ポリープ切除術により死亡率・罹患率を減少させることなど,二次予防の効果(早期発見・早期治療)も高いことが特徴であり,検診で遭遇する大腸ポリープを適切に取り扱うことは大変重要な課題である.本稿ではガイドラインを中心にして,大腸ポリープの取り扱いについて解説する.
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