連載 内視鏡の読み方
類基底細胞癌を伴う食道扁平上皮癌
中尾 栄祐
1
,
由雄 敏之
1
,
石山 晃世志
1
,
土田 知宏
1
,
並河 健
1
,
渡海 義隆
1
,
吉水 祥一
1
,
堀内 裕介
1
,
平澤 俊明
1
,
藤崎 順子
1
1がん研有明病院消化器内科
キーワード:
類基底細胞癌
,
食道扁平上皮癌
,
type R血管
Keyword:
類基底細胞癌
,
食道扁平上皮癌
,
type R血管
pp.795-799
発行日 2021年6月20日
Published Date 2021/6/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001825
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表在型食道癌の多くは扁平上皮癌(SCC;squamous cell carcinoma)であるが,まれにその他の組織型の併存がみられる.「食道癌取扱い規約」第11版には,扁平上皮癌以外に9種類の組織型が記載されており,そのうちの一つに類基底細胞癌(BSC;basaloid squamous carcinoma)がある.BSCはSCCの一亜型で,食道癌全体のわずか0.5%を占めるまれな組織型であり,時にSCCと併存する.内視鏡ではBSCの形態的特徴として,なだらかな粘膜下腫瘍様隆起が挙げられる.白色光観察でもBSCの存在を疑うが,狭帯域光(NBI;Narrow Band Imaging)所見が参考になることがある.日本食道学会より提唱された表在型食道癌の拡大内視鏡分類によると,不規則で細かい網状血管(type R)は低分化型,INFc,特殊な組織型を示す食道癌にみられることが多いと記載されている.今回,type R血管が観察されたBSCを併存するSCCを経験したため,その内視鏡所見と病理組織学的所見を報告する.
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