発行日 2006年12月1日
Published Date 2006/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007094855
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72歳男性。患者は特に自覚症状はなかったが、近医の胸部X線にて急速に増大する異常陰影を指摘され、著者らの施設へ紹介入院となった。入院時、胸部X線では左肺門部から左肺野へ突出する辺縁平滑な腫瘍を認め、CTでは前縦隔に5.5×4cm大の充実性腫瘍と左胸腔内に突出した部分を認めた。腫瘍マーカーではCEAとCYFRAの上昇を認め、開胸腫瘍生検はH.pylori陽性の胃潰瘍を認め、禁煙が不十分であったため中止した。臨床経過とCEA高値から胸腺癌を疑い、CPT-11による化学療法と放射線療法を先行したところ、充実性腫瘍は縮小し、突出部分は嚢胞性に変化したため、腫瘍切除術を行った。病理組織学的に胸腺類基底細胞癌と診断され、細胞診で悪性細胞を認めたため、術後化学放射線療法を施行したが、術後6ヵ月に多臓器不全をおこし患者は死亡となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2006