特集 除菌後時代を迎えた胃癌診療 ―残された課題を巡って
5 .A 型胃炎(自己免疫性胃炎)を背景とした胃癌
原 裕一
1
,
蔵原 晃一
1
,
大城 由美
2
,
八板 弘樹
1
,
南 一仁
3
,
浦岡 尚平
1
,
池上 幸治
1
1松山赤十字病院胃腸センター
2松山赤十字病院病理診断科
3松山赤十字病院外科
キーワード:
A 型胃炎
,
自己免疫性胃炎
,
胃癌
,
H. pylori
,
内視鏡所見
Keyword:
A 型胃炎
,
自己免疫性胃炎
,
胃癌
,
H. pylori
,
内視鏡所見
pp.1501-1507
発行日 2020年10月20日
Published Date 2020/10/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001426
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A 型胃炎は成因から自己免疫性胃炎とも呼ばれ,抗胃壁細胞抗体の出現による胃体部優位の萎縮を特徴とし,無酸症と高ガストリン血症を呈し,悪性貧血の原因となり,胃NET と胃癌の発生母地となる.A 型胃炎の内視鏡所見はいわゆる逆萎縮パターンが特徴的とされるが,固着粘液やwhite globeappearance(WGA)などの所見も高頻度にみられる.生検により病理組織学的に胃体部優位の粘膜萎縮や endocrine cell micronest(ECM)などを確認することが診断に有用となる.胃癌を合併するA 型胃炎症例はやや高齢で高度萎縮例が多く,胃癌発生はA 型胃炎の晩期合併症の一つに位置付けられる.A 型胃炎を背景とした胃癌は早期癌が大部分を占め,組織型は分化型が多く肉眼型は表面隆起型を呈することが多い.
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