特集 慢性膵炎―ガイドライン改訂に向けて
1.慢性膵炎の病態(3)病 理
能登原 憲司
1
1倉敷中央病院病理診断科
キーワード:
慢性膵炎
,
硬変様変化
,
線維化
,
病理
Keyword:
慢性膵炎
,
硬変様変化
,
線維化
,
病理
pp.1309-1312
発行日 2020年9月20日
Published Date 2020/9/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001345
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慢性膵炎では,膵実質(小葉,膵管)と周囲の脂肪組織が広く炎症で障害される.小葉内では腺房細胞障害の結果,さまざまな上皮の再生像と小葉内および小葉間線維化をきたし,進行とともに膵実質のボリューム減少が進行する.膵管では蛋白栓や膵石に加え,膵管上皮の破壊と肉芽形成からなるびらんを生じ,膵管の狭窄,拡張,さらには上流域の腺房細胞障害をきたす.脂肪組織には膵炎に伴って炎症がみられ,線維化をきたす.膵内の脂肪浸潤が線維化をきたすと,小葉間線維化の原因となる.硬変様を呈するような典型例を除くと,慢性膵炎の病理診断は困難なことがあり,臨床情報にも配慮して診断を下す必要がある.
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