特集 薬物療法がひらく新しい肝細胞癌の治療strategy
1 .肝細胞癌に対する薬物療法(2)ファーストライン導入のタイミング―現状と課題
森口 理久
1
,
伊藤 義人
1
1京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科
キーワード:
肝細胞癌
,
TACE 不応
,
TACE 不適
,
分子標的治療薬
Keyword:
肝細胞癌
,
TACE 不応
,
TACE 不適
,
分子標的治療薬
pp.793-800
発行日 2020年7月20日
Published Date 2020/7/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001224
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肝細胞癌に対し使用可能な分子標的治療薬(MTA)が増え,治療成績も向上している.全生存期間(OS)の改善にはこれらの薬剤を使い切ることの重要性が示唆されていて,良好なPS,Child‒Pugh score A の維持も肝細胞癌の治療において重要である.intermediate stage における分子標的治療薬の有効性も明らかになってきており,同stage における治療戦略がOS 延長の鍵と考えられる.intermediate stage においては,肝動脈化学塞栓療法(TACE)と分子標的治療薬の有効性・肝機能への影響などの特徴を考慮して治療法を選択し,TACE が選択された場合にはTACE 不応をしっかり見極め肝機能を温存しつつファーストラインを導入することが重要である.一方,腫瘍状況や肝予備能などから総合的にTACE 不適と判断される場合には,ただちに分子標的治療薬を導入するという治療戦略も今後重要になってくるものと思われる.
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