特集 薬剤性消化器疾患の診療
1 .薬剤性消化器疾患のメカニズム(3)肝臓
淺岡 良成
1
,
田中 篤
1
1帝京大学医学部内科学講座
キーワード:
中毒性薬物性肝障害
,
特異体質性薬物性肝障害
,
反応性代謝物
,
適応免疫応答
Keyword:
中毒性薬物性肝障害
,
特異体質性薬物性肝障害
,
反応性代謝物
,
適応免疫応答
pp.689-694
発行日 2020年6月20日
Published Date 2020/6/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001195
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
肝臓における薬剤性消化器疾患である薬物性肝障害(drug‒induced liverinjury;DILI)は,中毒性DILI と特異体質性DILI に分類される.DILIの発症機序は,従来,中毒性DILI を模した動物モデルにより解析され,ミトコンドリア障害や細胞障害,細胞死,自然免疫系の役割が示されてきた.近年,GWAS 解析により特異体質性DILI にHLA 多型が関与していることが判明し,適応免疫応答が発症機序に影響していることが示唆されている.DILI はこれらの反応が段階的に,複雑に関連し合いながら発症すると考えられる.また抗癌剤などの新規薬剤の開発に伴い,新たな発症機序の肝障害の報告も増加しており,引き続き重要な分野と考えられる.
Copyright © 2020, Nihon Medical Centers, Inc. All rights reserved.