特集 一般医のためのエコー活用法
Ⅳ.腹部
臓器からみた腹部エコー
肝臓のびまん性疾患
熊田 卓
1
,
豊田 秀徳
1
,
乙部 克彦
2
1大垣市民病院消化器科
2大垣市民病院形態診断室
pp.266-272
発行日 2007年11月30日
Published Date 2007/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402103080
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解剖と検査法
画像の表示法は原則として,日本超音波医学会の基準に沿って表示した.横断像では,被検者の右側が画面の左側,断像では頭側が画面の左側となる.超音波検査の走査法や手順としては,定められた手順はないが,施設で一定の走査手順を決め,それに沿って検査を進めることによって,観察や記録のし忘れを防ぐことが重要である.肝臓を走査するには背臥位が原則で,必要に応じて側臥位や半座位を加える1).
4つの基本的な走査法,すなわち,①右肋弓下走査,②右肋間走査,③心窩部斜~横走査により肝臓の左右両葉をくまなく走査する(図1,2).肝区域はCouinaudの亜区域分類に従い,尾状葉を1(segment1:S1)として反時計回りに8まで番号を付ける.門脈はこの区域分類に従い,P1(portal vein)~P8に分類する.肝静脈は,右肝静脈,中肝静脈,左肝静脈が肝部下大静脈に合流する.また,尾状葉から直接に下大静脈に流入する短肝静脈群が観察される.時に下右肝静脈(右後下区域からの枝)が観察されるが,本来の右肝静脈の細い例で太い脈管が観察されることが多い.
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