特集 薬剤性消化器疾患の診療
4 .その他の薬剤性消化器疾患(3)薬剤性膵炎
神澤 輝実
1
,
千葉 和朗
1
,
菊山 正隆
1
1がん・感染症センター都立駒込病院消化器内科
キーワード:
薬剤性膵炎
,
副作用
,
急性膵炎
Keyword:
薬剤性膵炎
,
副作用
,
急性膵炎
pp.751-758
発行日 2020年6月20日
Published Date 2020/6/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001204
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薬剤性膵炎は,治療目的で投与された薬剤が原因で生じた膵炎で,急性膵炎の臨床像を呈し慢性膵炎への移行はみられない.多くは軽症で予後は良好であるが,重症化し死亡する例もあり注意が必要である.多くの薬剤性膵炎は薬剤に対する特異体質が原因で生じるアレルギー機序によるもので,発症に個人差があり,用量非依存性で,投与から1 カ月以内に発症することが多い.診断は,当該薬剤投与中に膵炎を発症し,ほかに膵炎の原因がなく,薬剤中止で膵炎が軽快し,さらに薬剤の再投与で膵炎が再燃した場合確定する.チャレンジテストが未施行な場合や複数の症例報告がある場合は,疑われる薬剤と位置づける.再発予防のためには,同一薬だけでなく,類似構造をもつ薬剤の投与は避けることが重要である.
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