特集 薬剤性消化器疾患の診療
1 .薬剤性消化器疾患のメカニズム(1)上部消化管(食道・胃・十二指腸)
加藤 元嗣
1
,
米谷 則重
2
,
松田 宗一郎
2
,
津田 桃子
2
,
久保 公利
2
1国立病院機構函館病院
2国立病院機構函館病院消化器内科
キーワード:
NSAIDs
,
アスピリン
,
副腎皮質ステロイド
,
ビスホスホネート
,
チロシンキナーゼ阻害薬
Keyword:
NSAIDs
,
アスピリン
,
副腎皮質ステロイド
,
ビスホスホネート
,
チロシンキナーゼ阻害薬
pp.675-681
発行日 2020年6月20日
Published Date 2020/6/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001193
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
胃・十二指腸潰瘍の原因でもっとも頻度が高いのはH. pylori感染であるが,薬剤性の頻度も増えており重要である.上部消化管粘膜傷害を起こす薬剤には,アスピリンを含んだNSAIDs,副腎皮質ステロイド,ビスホスホネート,ダビガトラン,チロキンシナーゼ阻害薬,免疫チェックポイント阻害薬などがある.アスピリンを含めたNSAIDs は,COX‒1 を介する間接的な機序と局所の直接的な機序によって消化管粘膜傷害を引き起こす.副腎皮質ステロイドの場合は,COX‒2 阻害が主体で,アスピリン/NSAIDs などとの併用時に注意が必要である.ビスホスホネート,ダビガトランは直接的な機序で消化管粘膜傷害を引き起こす.チロキンシナーゼ阻害薬はVEGF阻害が粘膜傷害の引き金となる.
Copyright © 2020, Nihon Medical Centers, Inc. All rights reserved.