特集 遭遇の機会が増えたIPMN/膵囊胞―現状と課題
1 .IPMN の基礎知識(2)IPMN の病理
池田 恵理子
1,2
,
福嶋 敬宜
1
1自治医科大学病理診断部
2自治医科大学内科学講座消化器内科部門
キーワード:
膵管内乳頭粘液性腫瘍
,
MUC 染色
,
GNAS 変異
,
KRAS 変異
Keyword:
膵管内乳頭粘液性腫瘍
,
MUC 染色
,
GNAS 変異
,
KRAS 変異
pp.1445-1451
発行日 2019年10月20日
Published Date 2019/10/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000964
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膵管内乳頭粘液性腫瘍(intraductal papillary mucinous neoplasm;IPMN)の病理学的概念は,多くの症例,議論を基に確立してきた.IPMN は腫瘍上皮の異型性による異型度分類と腫瘍の組織分化の種類による組織亜型分類がある.異型度分類は低異型度(low‒grade)と高異型度(high‒grade)の2 段階であり,低異型度は腺腫(adenoma),高異型度は非浸潤癌(non‒invasivecarcinoma)に相当する.組織亜型は,胃型,腸型,胆膵型,オンコサイト型に分類される.組織亜型の補助診断は,MUC シリーズ染色が有用である.IPMN に関わる遺伝子異常としてGNAS 変異,KRAS 変異,RNF43 変異が判明している.とくにGNAS 変異はIPMN に特異的な遺伝子異常であり,IPMN 由来膵癌の鑑別診断にも有用である.また,良悪性の鑑別や治療方針決定の補助診断として,膵液を用いてGNAS 変異の検出や組織亜型の判別を行う試みがされている.
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