特集 胃癌診療2019―現状と課題
1 .わが国の胃癌診療の現状と課題
山下 裕玄
1
,
瀬戸 泰之
1
1東京大学大学院医学系研究科消化管外科学
キーワード:
ヘリコバクターピロリ
,
高齢
,
フレイル
,
サルコペニア
,
周術期化学療法
Keyword:
ヘリコバクターピロリ
,
高齢
,
フレイル
,
サルコペニア
,
周術期化学療法
pp.1315-1319
発行日 2019年9月20日
Published Date 2019/9/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000933
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胃癌の主原因であるH. pylori の感染率は低下の一途を辿っており,わが国における胃癌患者はH. pylori 感染率の高い高齢者世代にピークがきている.高齢者ではさまざまな生理的予備能が衰えてくるのが一般的である.フレイル・サルコペニアといった併存症があった場合には,短期的には術後合併症が多く,長期的には他病死が多いという点から,「高齢」は胃癌の病期と同じく治療指針を決める際に留意すべき事項といえる.外科手術による至適切除範囲は臨床試験の結果を元に徐々に縮小し,さらなる治療成績向上には周術期化学療法の存在が欠かせない.術後補助化学療法の確立は進んでいるが,術前治療については未解決で課題が多い.
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