特集 ピロリ菌陰性者にみられる胃疾患の診かた― 胃癌を中心に
9 .EB ウイルス関連胃癌とH. pylori
牛久 綾
1
,
牛久 哲男
1
1東京大学医学部・大学院医学系研究科人体病理学・病理診断学分野
キーワード:
EB ウイルス
,
エピジェネティック異常
,
慢性胃炎
,
ヘリコバクターピロリ
Keyword:
EB ウイルス
,
エピジェネティック異常
,
慢性胃炎
,
ヘリコバクターピロリ
pp.1487-1496
発行日 2017年9月20日
Published Date 2017/9/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000129
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EB ウイルス関連胃癌は胃癌全体のおよそ10%を占め,臨床病理学的・分子生物学的に特徴的な一群を形成している.EB ウイルス関連胃癌は,慢性萎縮性胃炎を背景として発生することが多く,DNA メチル化に代表されるエピジェネティック異常が発癌に重要な役割を果たしている.H. pylori 感染は本邦における慢性萎縮性胃炎のおもな原因であり,EB ウイルス関連胃癌患者の多くにH. pylori が感染していることが示唆され,これらの二つの異なる病原体が胃癌の発生に協同的に働いていると考えられる.今後,早期のH. pylori 除菌やH. pylori 感染率の低下がEB ウイルス関連胃癌の発生の抑制につながることが期待される.
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