Close-up 心不全パンデミック
心不全パンデミックと理学療法
櫻田 弘治
1
Koji SAKURADA
1
1心臓血管研究所付属病院リハビリテーション室
キーワード:
心不全
,
高齢
,
フレイル
,
サルコペニア
,
入院関連機能障害
,
HAD
Keyword:
心不全
,
高齢
,
フレイル
,
サルコペニア
,
入院関連機能障害
,
HAD
pp.1198-1203
発行日 2022年10月15日
Published Date 2022/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551202825
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はじめに
心不全患者が,再入院を繰り返し「心不全の病みの軌跡」1)をたどることによって予後不良となることは明らかであり,繰り返す入院は医療経済的にも大きな問題である.それを減らすことは理学療法のきわめて重要な治療目的のひとつである.
本邦における循環器疾患別患者数は,2021年の循環器疾患診療実態調査(Japanese Registry of All Cardiac and Vascular Diseases:JROAD)登録施設において急性心筋梗塞および心臓手術件数が6万〜7万件前後で推移しているのに対し,心不全入院患者数は26万〜28万人であり,2013年と比較して経年的に増加し,2021年の登録施設数は264施設と少ないにもかかわらず約3万人も増加している2).
全国の心不全患者数は2030年には130万人に達すると考えられ,特に65歳以上の高齢者の割合は31.6%へ増加していくことが予測されている3).まさに超高齢社会の到来とともに心不全患者が増加し続けている現在,いわゆる「心不全パンデミック」を経験している理学療法の臨床現場では何が起きているのか.さらに,この状況に対応するために必要とされる理学療法の変化と課題,また健康寿命の延伸等を図るための脳卒中,心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法(脳卒中・循環器病対策基本法)がめざす目標達成のための理学療法の役割,関連学会の動きについて解説することを通して,心不全患者に対する理学療法の問題点を共有したい.
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