炎症性腸疾患診療のupdate
Ⅴ 炎症性腸疾患の内科治療 ⑱粘膜再生治療法
清水 寛路
1,2
,
鈴木 康平
1,2
,
岡本 隆一
3
,
渡辺 守
1
1東京医科歯科大学・消化器病態学
2東京医科歯科大学・光学医療診療部
3東京医科歯科大学・再生医療研究センター
キーワード:
粘膜治癒
,
腸管上皮幹細胞(ISC)
,
再生医療
Keyword:
粘膜治癒
,
腸管上皮幹細胞(ISC)
,
再生医療
pp.894-898
発行日 2019年5月25日
Published Date 2019/5/25
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000822
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炎症性腸疾患(IBD)は消化管に原因不明の炎症と潰瘍を引き起こす慢性疾患であり,潰瘍性大腸炎(UC)とクローン病(CD)に代表される疾患群である.IBD の罹患患者数は世界的に増加の一途を辿っており,わが国でも罹患患者数は増え続けている.患者数増加に伴い既存治療に抵抗性の難治症例も増え,日常的にQOL を害し,手術治療を要する症例も少なくない.治療としては,5‒アミノサリチル酸製剤をはじめとして,中等症,重症例には副腎皮質ステロイドや免疫調節薬を用いる.これら難治性の症例に対しては,近年開発された生物学的製剤,すなわち分子標的薬である抗TNF‒α抗体製剤がたいへん有効であり,これによりIBD の治療は長期寛解維持を前提とした「粘膜治癒」という,高いレベルの治療目標を達成することが可能となった.昨今では,より有用で効果的な新規薬剤の開発が進み,次々と新しい分子標的薬が臨床使用されており,治療方法の選択肢が増えて個別のケースに最適な治療が可能となった.その反面,これら生物学的製剤に対しても無効例や抵抗例が存在し,IBD 治療の目標である粘膜治癒が得られない症例も増加している.
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