Japanese
English
今月の主題 新しい治療による炎症性腸疾患(IBD)の経過―粘膜治癒を中心に
序説
粘膜治癒をもたらす治療は炎症性腸疾患(IBD)診療を変えるのか?
Introduction
松井 敏幸
1
Toshiyuki Matsui
1
1福岡大学筑紫病院消化器科
キーワード:
治療
,
生物学的製剤
,
IBD
,
粘膜治癒
,
長期予後
Keyword:
治療
,
生物学的製剤
,
IBD
,
粘膜治癒
,
長期予後
pp.1809-1811
発行日 2007年12月25日
Published Date 2007/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403101235
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はじめに
炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease;IBD)〔Crohn病(Crohn's disease;CD)と潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis;UC)〕は,難治性ゆえに長期間の治療を必要とする.このうち,CDの多くは類型化された経過・予後をとるが,時に長期経過中思いがけない合併症を生じることがあり,病初期にその予測を立てることは必ずしも容易でない.もしもその経過と予後が予めわかっていれば,治療方針が立てやすいことになる.最近,infliximabによりCDでは臨床症状が改善されるばかりでなく,腸病変の粘膜治癒(mucosal healing;MH)も得られることがわかってきた(Fig.1).さらに,MHがその後の経過における重要な予後規定因子であることが判明してきた.これらを根拠にMHが得られるまで治療を行うとの方針が立てられつつある.一方,UCでもcyclosporineなどの免疫抑制剤により同様の観察がなされている.そこで本号では,形態学的立場からIBDの再発予防に向けた治療方針と治療効果の予測について,以下の4視点,つまり,①IBDにおけるMHの意義,②腸(粘膜)病変の治癒判定基準,③CDのbehavior類型からみた治療法選択,④UCの内視鏡像による治療法選択,の点から検証し論じてみたい(Fig.1).MHに関連する事項は数多く,多方面から考察する必要がある.以下に簡単に各事項を整理してみたい(Fig.1).
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