特集 腸内細菌研究の最前線 ―社会実装へ向けて
2.腸内細菌と疾患(1)腸内細菌叢と炎症性腸疾患
三好 潤
1
,
小栗 典明
1
,
久松 理一
1
1杏林大学医学部消化器内科学
キーワード:
腸内細菌叢
,
炎症性腸疾患
,
潰瘍性大腸炎
,
クローン病
Keyword:
腸内細菌叢
,
炎症性腸疾患
,
潰瘍性大腸炎
,
クローン病
pp.1326-1330
発行日 2025年9月20日
Published Date 2025/9/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000003645
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炎症性腸疾患(IBD)の患者数は世界的に増加傾向にあるが,病態生理はいまだ解明されていない.近年,腸内細菌叢はIBD病態において重要な役割を果たす因子として注目されている.多くの臨床研究においてIBDと腸内細菌叢の乱れ(dysbiosis)の関連が報告され,また動物モデルを用いた研究では幼少期dysbiosisがIBD発症の原因となることも示唆されている.現在,糞便微生物叢移植をはじめ,さまざまな腸内細菌叢を標的としたIBD治療が検討されているが,いまだ日常診療における治療選択肢としては確立しておらず,さらなる研究,開発が期待される.

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