特集 消化管粘膜下腫瘍(SMT)の診療
巻頭言
西田 俊朗
1
1国立がん研究センター中央病院胃外科
pp.1445-1446
発行日 2018年10月20日
Published Date 2018/10/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000552
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このたび『臨牀消化器内科』が特集で「消化管粘膜下腫瘍(SMT)の診療」を取り上げていただいたこと,たいへん嬉しく思います.粘膜下腫瘍の特集は,2012年7月号の「下部消化管粘膜下腫瘍の診断と治療」以来と聞いています.粘膜下腫瘍は,さまざまな疾患からなる臨床診断名の総称であり,全消化管で観察される.日常診療で内視鏡検査などをしていると,一定の確率(検診の内視鏡で約0.1%,二次精査で2~3%)で粘膜下腫瘍に出合う.経過観察あるいは放置してよいものから,手術などの治療を要する悪性のものまでさまざまである.一方,その質的診断は必ずしも容易ではない.1980年代より粘膜下腫瘍に対しても超音波内視鏡検査(EUS)が行われるようになり,2010年には超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS—FNA)が保険適用となり,組織学的診断が普及するにつれ,確実な存在診断ができるようになった.今やわれわれ臨床医は,消化管粘膜下腫瘍に出合ったとき,EUSやEUS—FNAで精査すべきか否か,さらに進んで手術すべき腫瘍か,あるいはフォローでよいのかを,想定される疾患を絞り込んで判断しなければならない.しかし,見ただけでは事程左様に診断は易しくない.その診断学を教えてくれる最新の情報を集めた教科書的な出版物もほとんどない.
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