膵癌update
Ⅳ 鑑別疾患と類縁疾患 ⑥まれな膵腫瘍の画像所見の特徴
小松 直広
1
,
真口 宏介
1
,
金 俊文
1
,
矢根 圭
1
,
林 毅
1
,
潟沼 朗生
1
,
高橋 邦幸
1
1手稲渓仁会病院消化器病センター
キーワード:
腺扁平上皮癌
,
退形成癌
,
粘液癌
,
腺房細胞癌
,
転移性膵腫瘍
Keyword:
腺扁平上皮癌
,
退形成癌
,
粘液癌
,
腺房細胞癌
,
転移性膵腫瘍
pp.924-931
発行日 2018年5月25日
Published Date 2018/5/25
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000415
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膵腫瘍は充実性と囊胞性に大きく分けられる.充実性腫瘍の代表としては,膵癌,神経内分泌腫瘍(neuroendocrine neoplasm;NEN),solid‒pseudopapillary neoplasm(SPN),転移性腫瘍が挙げられる.このうちもっとも頻度の高いのは膵癌であり,その多くは高~低分化型の浸潤性膵管癌(通常型膵癌)である.
膵癌の典型的な画像所見としては,造影CTの膵実質相では乏血性の腫瘤として認められ,遅延性に濃染する.超音波(US・EUS)では比較的境界明瞭な低エコー腫瘤であり,輪郭は結節状あるいは不整である.主膵管狭窄・閉塞を呈し,尾側膵管や分枝の拡張を認めることが多い.しかし,時に通常型膵癌としては非典型的な画像所見を呈する例がある.これらのなかには,低分化型主体の癌や膵癌と膵炎の併存,膵癌による貯留囊胞や仮性囊胞形成例があるが,このほかに,腺扁平上皮癌,退形成癌,粘液癌,腺房細胞癌など のまれな組織型もみられる.
本稿では,「膵癌取扱い規約」第7版に分類されている浸潤性膵管癌のうち,腺癌(おもに管状腺癌)以外の腺扁平上皮癌,退形成癌,粘液癌,腺房細胞癌を特殊型膵癌として扱い,加えて転移性膵腫瘍のCT,MRI(MRCP),US・EUSの画像所見および鑑別ポイントについて述べる.
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