連載 検査値の読み方
Fusobacterium によると考えられ,肺血栓塞栓症を合併した,健常男性に生じた肝膿瘍の1 例
池田 朱里
1
,
加藤 知爾
1
,
光井 洋
1
,
鈴木 丈夫
2
,
中井 達郎
3
,
橋本 直明
1
1東京逓信病院消化器科
2東京逓信病院消化器科 IVR 科
3東京逓信病院消化器科 臨床検査科
キーワード:
肝膿瘍
,
肺血栓塞栓症
,
Fusobacterium necrophorum
,
Fusobacterium nucleatum
,
Lemierre 症候群
,
レミエール症候群
Keyword:
肝膿瘍
,
肺血栓塞栓症
,
Fusobacterium necrophorum
,
Fusobacterium nucleatum
,
Lemierre 症候群
,
レミエール症候群
pp.571-578
発行日 2018年4月20日
Published Date 2018/4/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000327
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肝膿瘍の起因菌としてはKlebsiella pneumoniaeやEscherichia coli が知られており,通常この2 菌で全体の2/3 ほどを占める1).一方,少数例ではあるが,口腔内常在菌のFusobacteriumやStreptococcus anginosus group による肝膿瘍も知られている2).これらは嫌気性菌であったり,発育速度が遅く,初代分離時には5~10%炭酸ガス培養や嫌気培養で増殖が促進されるなど培養条件に工夫や困難を有することから,検出の難しい菌とされている. われわれは,抜歯歴のある健常男性の,Fusobacteriumによると考えられる肝膿瘍症例を経験した.治療後半に肺血栓塞栓症を合併し,Fusobacterium 感染に伴うLemierre(レミエール)症候群と診断した点も珍しく,考察を加えて報告する.
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