特集 GERD 診療2018―現状と課題
1 .GERD の疫学
沢田 明也
1
,
藤原 靖弘
1
1大阪市立大学大学院医学研究科消化器内科学
キーワード:
胃食道逆流症
,
疫学
,
逆流性食道炎
,
非びらん性逆流症
Keyword:
胃食道逆流症
,
疫学
,
逆流性食道炎
,
非びらん性逆流症
pp.259-264
発行日 2018年2月20日
Published Date 2018/2/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000253
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日本人のGERD 患者数は1990 年代後半より増加しており,罹患率は約10%と推測される.増加の背景には,胃酸分泌の増加,Helicobacterpylori 感染率の低下,ライフスタイルの欧米化,疾患認知度の上昇,GERD の概念の変化など複数の要因が考えられているが,原因は完全には解明されていない.本邦ではびらん性GERD の約90%が軽症型のロサンゼルス分類Grade AまたはGrade B で,GERD 全体の約60%が非びらん性GERD である.GERD の危険因子として,肥満や食道裂孔ヘルニア,高齢,中等度の萎縮性胃炎などが報告されている.日本人の胃酸分泌は1990 年代からの20 年間で大きな変化はないが,今後Helicobacter pylori 感染率の低下により日本人全体の胃酸分泌は増加しそうである.世界のGERD 罹患率は増加に歯止めがかかりつつあるが,今後本邦でのGERD 患者数の推移に注意が必要である.
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