特集 GERD診療Update 2023
2.GERDの病態
川見 典之
1
,
岩切 勝彦
1
1日本医科大学消化器内科学
キーワード:
逆流性食道炎
,
非びらん性逆流症
,
一過性LES弛緩
,
acid pocket
,
唾液分泌
Keyword:
逆流性食道炎
,
非びらん性逆流症
,
一過性LES弛緩
,
acid pocket
,
唾液分泌
pp.1131-1140
発行日 2023年7月20日
Published Date 2023/7/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000002744
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逆流性食道炎は食道内の過剰な酸曝露により発症し,胃食道逆流のおもなメカニズムである一過性LES弛緩時の胃酸逆流の合併率は健常者に比べて有意に高率である.その要因としては,胃酸逆流後の胃酸上昇パターン,胃酸排出パターン,食道裂孔ヘルニアとacid pocketの位置関係などが関与している.非びらん性逆流症(NERD)では食道粘膜の知覚過敏が基本に存在するが,NERD患者では二次蠕動波の出現率が低下しており,症状が出現しやすい上部食道への逆流を起こしやすい.機能性消化管疾患の国際基準であるRome ⅣのなかでNERDは,食道内に過剰な酸曝露を認める狭義または真のNERD (True NERD),食道内の酸曝露は正常で食道の知覚過敏に加えておもに弱酸逆流により症状が出現する逆流過敏性食道,食道内の酸曝露は正常で逆流とは無関係に症状が出現する機能性胸やけ,に分類される.近年,女性においては唾液分泌量の減少が胃食道逆流症(GERD)の病態に影響を及ぼしている可能性や,食道機能検査において新たなパラメーターを用いたGERDの病態評価が行われている.
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