特集 消化器癌の拡大内視鏡診断
6 .胃底腺型胃癌の拡大観察診断
上山 浩也
1
,
八尾 隆史
2
1順天堂大学医学部附属順天堂医院消化器内科
2順天堂大学大学院医学研究科人体病理病態学
キーワード:
胃底腺型胃癌
,
拡大内視鏡
,
胃底腺
,
pepsinogen‒Ⅰ
,
H+/K+‒ATPase
Keyword:
胃底腺型胃癌
,
拡大内視鏡
,
胃底腺
,
pepsinogen‒Ⅰ
,
H+/K+‒ATPase
pp.1701-1711
発行日 2017年11月20日
Published Date 2017/11/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000166
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筆者らが提唱した胃癌の組織亜型である胃底腺型胃癌(gastric adenocarcinoma of fundicgland type;GAFG)は非常にまれな腫瘍であるが,H. pylori 未感染胃癌の一つと考えられ,今後さらに注目されるべき特殊な分化型胃癌である.近年,胃底腺型胃癌は組織学的に,純粋な胃底腺型胃癌(pure GAFG)と胃底腺粘膜型胃癌(gastric adenocarcinoma of fundic glandmucosal type;GAFGM)の二つのタイプに分類される.胃底腺型胃癌の肉眼形態は多彩であるが,各肉眼形態の通常白色光観察(WLI)の特徴に加え,NBI 併用拡大観察(ME‒NBI)の特徴を把握することが診断に有用であり,GAFGM においてはME‒NBI 所見が癌の診断とpureGAFG との鑑別に有用となる可能性がある.しかし,一般的には内視鏡診断は比較的困難と考えられており,内視鏡医においては胃底腺型胃癌の臨床病理学的特徴を理解することに加え,WLI とME‒NBI で胃底腺型胃癌を疑う所見を見落とさないことが重要であり,胃底腺型胃癌を疑う病変を生検した場合には的確な情報を病理医へ伝える必要がある.本稿では,胃底腺型胃癌の内視鏡診断を理解するために必要な臨床病理学的特徴を説明した後,現状での胃底腺型胃癌のNBI 併用拡大内視鏡を含む内視鏡診断について言及する.
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