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特集 胃疾患アトラス 改訂版
各論
Ⅰ. 隆起を呈する病変
2. 上皮性・腫瘍性隆起病変
B. 扁平隆起
胃底腺型胃癌
Gastric adenocarcinoma of fundic gland type
佐藤 公
1
,
末木 良太
1
,
小澤 俊一郎
1
Tadashi SATO
1
,
Ryouta SUEKI
1
,
Syunichirou OZAWA
1
1JCHO山梨病院消化器病センター
キーワード:
隆起性病変
,
胃底腺型胃癌
Keyword:
隆起性病変
,
胃底腺型胃癌
pp.86-87
発行日 2022年10月20日
Published Date 2022/10/20
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000000365
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疾患の概要
胃底腺,特に主細胞に分化する胃癌は2007年にTsukamotoら1)により初めて報告された。その後,Ueyamaら2)により胃底腺型胃癌(主細胞優位型)という新しい疾患概念として提唱された。WHO分類では,粘膜層にとどまるものについてはoxyntic-gland adenomaに分類される。臨床的には,胃底部から胃体上部の表面が正常な粘膜上皮で覆われた,周囲粘膜に比較して褪色調からやや黄色調の10mm以下の粘膜下腫瘍様病変として診断されることが多い。周囲に胃粘膜萎縮のない領域やHelicobacter pylori()未感染胃における報告が多い。拡大観察では拡張した樹枝状の血管が認められる。病理学的には,胃底腺型胃癌は胃底腺への分化を示す低異型度の分化型腺癌で,胃底腺を構成する細胞のうち,主細胞への分化を示す症例が多いとされる。免疫染色ではpepsinogen-I(主細胞の染色マーカー)およびH+/K+-ATPase(プロトンポンプ:壁細胞の染色マーカー)が陽性となることで診断される。頸部粘液腺および幽門腺のマーカーであるMUC6も陽性になることが多い。大きさに比較して粘膜下層浸潤の頻度は高いものの,脈管侵襲や転移のリスクは低いことも特徴とされる。
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