特集 ピロリ菌陰性者にみられる胃疾患の診かた― 胃癌を中心に
8 .H. pylori 未感染胃癌(胃底腺型胃癌)
上山 浩也
1
,
八尾 隆史
2
1順天堂大学医学部附属順天堂医院消化器内科
2順天堂大学大学院医学研究科人体病理病態学
キーワード:
胃癌
,
胃底腺
,
pepsinogen‒Ⅰ
,
H+/K+‒ATPase
Keyword:
胃癌
,
胃底腺
,
pepsinogen‒Ⅰ
,
H+/K+‒ATPase
pp.1479-1485
発行日 2017年9月20日
Published Date 2017/9/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000128
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筆者らが提唱した胃癌の組織亜型・胃底腺型胃癌,gastric adenocarcinoma of fundic glandtype の定義,臨床病理学的特徴,内視鏡的特徴,分子生物学的特徴について解説した.胃底腺型胃癌はH. pylori 未感染・分化型胃癌の一つと考えられ,胃底腺への分化を示す分化型腺癌の一亜型であり,免疫染色ではpepsinogen‒Ⅰ(主細胞のマーカー)またはH+/K+‒ATPase(壁細胞のマーカー)が陽性となる胃腫瘍である.近年,国内外から多くの報告がみられるようになったが,胃癌全体のなかでの頻度はまだ非常に低く,まれな腫瘍であると考えられている.確定診断には免疫染色を含む病理組織学的診断が必要であるが,内視鏡診断体系と生検病理診断体系が普及すれば頻度は上昇すると思われる.今後は胃底腺型胃癌の発癌機序や発育進展形式の解明と予後の解析が課題であり,胃底腺型胃癌を含むH. pylori 未感染胃癌の病態解明と臨床的な取扱いを確立する必要がある.
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