特集 内視鏡検査で胃癌見落としゼロを目指して
2 .各論(5)Helicobacter pylori 感染状況別の診断困難例 a.存在診断の観点から
伊藤 峻
1
,
小野 敏嗣
1
1千葉西総合病院消化器内科
キーワード:
早期胃癌
,
ヘリコバクターピロリ
,
H. pylori除菌後胃癌
,
内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)
Keyword:
早期胃癌
,
ヘリコバクターピロリ
,
H. pylori除菌後胃癌
,
内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)
pp.1324-1330
発行日 2021年8月20日
Published Date 2021/8/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001942
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早期胃癌はHelicobacter pyloriの感染状況(未感染・現感染・除菌後)によって好発する病変性状が異なるため,背景粘膜性状を意識して検査に臨むことが肝要である.初回検査で存在診断に至らなかった教訓的な4症例について考察する.症例1:非萎縮粘膜では認識しづらい褪色調の病変に注意が必要であり,初学者が検査を行う際は十分なバックアップ体制が望ましい.症例2:患者背景を含めたさまざまな要因により診断に至らなかったとしても,ハイリスク患者に対して適切なフォローアップが行われれば生命予後に影響しない段階で診断できる可能性がある.症例3:異型の乏しい内視鏡像を呈する除菌後胃癌は肉眼像のみでの正診に限界があることを理解したうえで,必要に応じ病理組織検査を行う必要がある.症例4:背景粘膜に高度萎縮を認める症例では血管透見の低下が病変拾い上げの鍵となる.また,フォローアップにあたり異時性多発病変に注意を払う必要がある.
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