特集 透析患者の骨粗鬆症と骨折を理解する
1.透析患者の骨粗鬆症と骨折の実態―CKD-MBDの関与
小岩 文彦
1
,
高橋 裕典
1
1昭和大学藤が丘病院内科(腎臓)
キーワード:
骨粗鬆症
,
CKD-MBD
,
骨折リスク
Keyword:
骨粗鬆症
,
CKD-MBD
,
骨折リスク
pp.236-241
発行日 2025年3月10日
Published Date 2025/3/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000003332
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透析患者に生じる骨折頻度は一般人の数倍高い.一度骨折すると,高い再骨折率,骨折後の全身状態や身体活動の低下,各種臓器病変の増加など重大な帰結をもたらす.骨粗鬆症は低骨量と骨組織の微細構造の異常により骨脆弱性が増大して骨折リスクが高まる疾患である.これに対して腎不全では副甲状腺ホルモン(PTH),酸化ストレス,慢性炎症などにより骨吸収が骨形成を大きく上回る.さらに尿毒症物質の蓄積や糖尿病の影響により骨質が劣化して骨量が維持されているにもかかわらず骨強度が低下する.そのためCKD-MBDに包含される上記の骨代謝異常や高PTHに加えて,リンの関与,PTH低下薬である活性型ビタミンD製剤やcalcimimeticsも骨折リスクに影響する可能性がある.以上から,腎不全に見られる骨粗鬆症は腎不全により二次的に生じたのではなく,「CKD-MBDと並ぶ骨粗鬆症」の表現がよりふさわしい.

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