透析患者の消化管疾患AtoZ 各論
1.全消化管にみられる疾患・徴候 4 異物誤飲
石川 秀樹
1,2
1帝京大学医学部救急医学講座・高度救命救急センター
2東京都医師会救急委員会
キーワード:
消化管異物
,
PTP
,
誤飲
,
内視鏡的摘出術
,
緊急手術
Keyword:
消化管異物
,
PTP
,
誤飲
,
内視鏡的摘出術
,
緊急手術
pp.945-948
発行日 2021年8月25日
Published Date 2021/8/25
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000001842
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誤飲とは消化管への異物混入である(気道異物は誤嚥).2020年中に東京消防庁救急相談センターに寄せられた「異物誤飲」の相談は3,502件(全相談の1.8%)で,本邦特有の魚骨咽頭異物570件と合わせ1日10件以上の相談があった.小児・高齢者が実数でも人口比でも非常に多いが,成人・高齢者の誤飲が多い背景には,口腔内感覚の麻痺(老化・義歯・飲酒・喫煙・不衛生など)や認知機能の低下〔うっかり・慌て・慣れ・薬品包装(PTP;press through package)容器の不用意な扱い・認知症など〕が挙げられる.成人・高齢者に多い消化管異物には,咀嚼不十分な食品,魚骨,爪楊枝(とくに欧米),柿や毛髪から生じる胃石,歯科異物〔治療器具・義歯・歯冠〕,PTPや各種の液体〔酸・アルカリ・洗剤・消毒薬・灯油〕などがある.慢性透析療法患者約35万人の大多数は複数の内服薬を常用しており,PTP誤飲の危険が常にある.1996年3月,業界団体の自主申し合わせでPTPのミシン目が1錠ずつ切り離せなくなったが,服用者は1回分ごとに保管するために,また薬局は端数を処方するために,切り離す行為はなくならず,PTP誤飲は根絶されていない.
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