特集 いま知っておきたい! 内科最新トピックス
第11章 腎・尿路系
HIF-PHD阻害薬:腎性貧血の新たな治療手段
安倍 寛子
1
,
田中 哲洋
1
1東京大学医学部附属病院腎臓・内分泌内科
キーワード:
エリスロポエチン
,
低酸素誘導因子(HIF)
,
プロリン水酸化酵素(PHD)阻害薬
Keyword:
エリスロポエチン
,
低酸素誘導因子(HIF)
,
プロリン水酸化酵素(PHD)阻害薬
pp.622-626
発行日 2020年9月1日
Published Date 2020/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika126_622
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Summary
・HIF-PHD阻害薬はプロリン水酸化酵素(PHD)を阻害し,低酸素誘導因子(HIF)を安定化することで貧血を改善する新たな腎性貧血治療薬である.
・内服薬のため従来の赤血球造血刺激因子製剤(ESA)と比較して低侵襲であり,鉄動態を最適化する作用もあることからESA低反応例への効果も期待される.
・HIFには多面的な作用が報告されていることから,PHD阻害薬による悪性腫瘍や網膜症増悪の可能性,長期使用に伴う影響などを引き続き十分に検討していく必要がある.
・現在国内外で5種類以上のHIF-PHD阻害薬に関する第Ⅱ相,第Ⅲ相臨床試験が進められており,現在本邦ではroxadustatが販売されている.現時点では適応は透析患者に限られるが,保存期慢性腎臓病(CKD)に対しても適応は拡大されると思われる.
© Nankodo Co., Ltd., 2020