今月の主題 酸化ストレス
総論・酸化ストレスと生体
酸化ストレスと生体防御機構―バイオピリンを含めて
山口 登喜夫
1
,
杉本 昭子
2
Tokio YAMAGUCHI
1
,
Akiko SUGIMOTO
2
1東京医科歯科大学難治疾患研究所
2東京医科歯科大学生体材料工学研究所
キーワード:
酸化ストレス
,
抗酸化物質
,
バイオピリン
Keyword:
酸化ストレス
,
抗酸化物質
,
バイオピリン
pp.237-246
発行日 2001年3月15日
Published Date 2001/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904702
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現在,地球の大気中の酸素(約150mmHg)は,生物に呼吸という酸化反応によるエネルギー獲得を可能にし,一方でオゾン(O3)層により太陽からの強烈な紫外線を遮断して生存圏を広げる大きな恩恵をもたらした.しかし,生物はその誕生時の状況を色濃く保存しており,生体の内部とりわけ細胞内は,極めて還元的(約1mmHg)である.この意味で酸素は,生物にとって基本的には危険因子であり,エネルギー代謝では,おそらく酸素分子を一分子ずつ厳格に制御するよう進化してきたものと思われる.したがって,生物は酸化的攻撃(酸化ストレス)とそれに対する防御反応の微妙なバランスのうえに成り立っていると言える.
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